耳鳴りと難聴
更新日:2024.03.11
耳鳴りの原因・改善方法は?キーンと鳴る症状についても解説
難聴や脳の病気などの重篤な疾患のサインとして知られている「耳鳴り」ですが、中にはストレスが原因で起こることもあります。
耳鳴りは3人に1人が経験したことがあるとも言われており、ストレスが原因となっているケースも非常に多いとされています。
今回は、そんなストレスが原因で起こる耳鳴りについて、そのメカニズムや改善方法についてご紹介します。
目次
ストレスが原因で耳鳴りが起きる理由
まずは、ストレスがどのような環境で起こりやすいのか、そしてどのようにしてストレスが耳鳴りを引き起こすのかを解説します。
ストレスは自分自身もはっきりと把握できていないケースや、さまざまな原因が少しずつ蓄積していくことよって大きなストレスとなっているケースがあります。
ご自身のストレスの原因を探り、改善に役立てましょう。
関連記事:耳鳴りが起きるメカニズムやその種類、サインとは?
関連記事:脳が耳鳴りを起こす? 頭痛と耳鳴りの危険な関係性
ストレスが溜まる原因とは
ストレスはいくつかのパターンに分類されます。
以下の中からご自身に当てはまるストレスタイプがどのようなものなのか見てみいきましょう。
・職場や家族、友人や近所などの人間関係のストレス
・多忙な業務や残業、夜勤や重い責任などの社会的ストレス
・温熱や寒冷、気圧の変化などの物理的ストレス
・騒音や振動、空気汚染や照明などの環境的ストレス
・家族の病気や死、解雇や挫折などの精神的ストレス
・病気やケガ、不規則な生活や睡眠不足などの肉体的ストレス
ストレスの原因を知ることは、その環境から距離をとったり対策を考えたりできる一歩になります。
それでは上記のようなストレスで耳鳴りが起こるのはなぜなのでしょうか。
次で詳しく解説します。
関連記事:【聞こえ総研 Vol.1】耳鳴りに悩む人はどれくらいいる?
関連記事:生理や気圧の変化でも耳鳴りが起きる?
ストレスで耳鳴りが起こるメカニズム
ストレスと耳鳴りの関係には「自律神経の動き」が関係しています。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つから成るもので、両方のバランスをとりながら体のコンディションを整えています。
しかし、過度なストレスが加わることによって自律神経のバランスが乱れると、脳内で音の判別が難しくなり耳鳴りを引き起こします。
その他にも、自律神経の乱れによって耳の筋肉の収縮や痙攣などを引き起こすことがあり、これも耳鳴りの原因になると考えられています。
自律神経が乱れた時の特徴として、耳鳴り以外にもめまいや頭痛といった症状も伴うことがあり、耳以外にも体の様々な部分にも不調をきたします。
自律神経は本人の意思でコントロールすることが難しいため、ストレスによる耳鳴りを感じている時は、その原因や改善方法を知ることが重要です。
耳鳴りの種類
耳鳴りは主に次のような2つの種類に分けられます。
自覚的(非拍動性)耳鳴
リズムがない単一の「キーン」「ピー」「ザー」などといった音がする耳鳴りです。
耳鳴りのほとんどがこの自発的耳鳴りであり、「蝉の鳴き声」や「モーター音」などと表現する方もいます。
自覚的(非拍動性)耳鳴は本記事で紹介しているように、ストレスによって自律神経が乱れることで引き起こされていると考えられています。
本記事の下部で改善方法を解説していますのでそちらも是非ご覧ください。
他覚的(拍動性)耳鳴
脈を打つような「ドクンドクン」「トクットクッ」などといった一定のリズムを刻む耳鳴りです。
耳の近くにある血管によって起こると考えられており、「心臓の音が聞こえる」「耳から脈の音が聞こえる」などと表現する方もいます。
血圧や血管の異常、腫瘍などが他覚的(拍動性)耳鳴の原因となっている場合があり、中には命に関わる可能性もあります。
ストレスも他覚的(拍動性)耳鳴の原因にもなると言われていますが、他覚的(拍動性)耳鳴の場合は注意が必要です。
本記事の下部で放っておいてもいい耳鳴りと危険な耳鳴りについても解説していますのでそちらも是非ご覧ください。
ストレスが原因の耳鳴りの改善方法
先ほどご紹介したように、ストレスが原因の耳鳴りを改善するには、自律神経のバランスを整えてあげることがポイントです。
ここからは、自律神経のバランスを整えるための習慣についてご紹介します。
日常生活に簡単に取り入れられるものが多いのでぜひ参考にしてみて下さい。
太陽の光を浴びる
朝起きたらまず太陽の光を浴びましょう。
日光を浴びると神経伝達物質の「セロトニン」が活性化され、この「セロトニン」に自律神経を整える働きがあります。
セロトニンが不足すると慢性的なストレスや意欲の低下を引き起こすため太陽の光を浴びることでメンタルの不調を予防しましょう。
適度な運動を行う
ウォーキングやストレッチ・ヨガなどの軽い運動を習慣化させましょう。
適度な運動をすることで交感神経と副交感神経のバランスを調節する機能が向上します。
また、ストレッチやヨガなどで筋肉の緊張をほぐすのことも耳鳴り改善におすすめです。
ハードな運動は心身の負担となることがあるため、軽い運動を習慣化させるということを心がけましょう。
湯船に浸かる
37℃〜39℃ほどのぬるめのお風呂に20〜30分浸かりましょう。
可能であれば毎日行うことが望ましいですが、難しい場合はできる範囲でも構いません。
42℃以上の熱いお湯だと交感神経が刺激され過ぎてしまい、返って自律神経のバランスを乱しかねないため「ぬるめのお湯」を心がけましょう。
良質な睡眠を確保する
質の良い睡眠をとることは自律神経を整えるために非常に重要です。
就寝前のスマートフォンの使用や入浴は寝る1〜2時間前までに済ませましょう。アルコールやカフェインの摂取は控えたり、眠る前に軽くストレッチをしたりするなどもおすすめです。
睡眠時間の確保が難しい方は上記のような睡眠の質を上げることを意識してみましょう。
首や肩を温める
首や肩を温めて血流を良くすると、自律神経の機能が向上します。
首元には太い血管が通っているため、首や肩を温めることで全身の血液の流れが良くなり疲労感や冷えが解消されます。
日中に疲れを感じたタイミングや寝る前にリラックス目的として取り入れてみましょう。
関連記事:耳鳴りや難聴に効果的な食べ物とは?
関連記事:【TRT療法】耳鳴りの正しい対処法とは?
放っておいてもいい耳鳴りと危険な耳鳴り
ここまでストレス性の耳鳴りについて自律神経との関係性や改善方法をご紹介してきましたが、耳鳴りに対して「ストレスが原因だ」と決めつけてしまうことは、重大な疾患の発見を見落とすことにも繋がります。
あまり心配のいらいない放っておいてもいい耳鳴りと、放っておくと危険な耳鳴りについて見ていきましょう。
放っておいてもいい耳鳴り
「キーン」「ピー」といった高い音の10秒以内で治る一過性の耳鳴りは、放っておいてもあまり心配いらないと言われています。
まずは上記でご紹介したような生活習慣の改善を心がけ、耳鳴りの頻度が増えていないか、耳鳴りの感じ方に変化がないか様子を見ましょう。
耳鳴りの頻度が以前と比べて増えている、耳鳴り10秒以上続くという場合や、耳鳴り以外の症状を感じている場合は一度医療機関へ相談してみても良いかもしれません。
放っておくと危険な耳鳴り
「ザーザー」や「トクントクン」といった血管音や鼓動音が耳鳴りとして聞こえる「血管性耳鳴り」は脳梗塞や脳出血などの重篤な疾患のサインであるケースがあります。
頭痛やめまい、吐き気を伴う場合はさらに注意が必要です。
「ザーザー」「トクントクン」という音が耳の周辺で聞こえるということは、血管が狭くなっているなどの障害が起きている可能性があります。
また、「ゴーッ」「ブーン」といった低音性の耳鳴りの場合は、「中耳炎」「耳垢塞栓」「メニエール病」や「突発性難聴」などの可能性が考えられるため、早めに医療機関の受診を検討して下さい。
関連記事:頭を動かすと耳の中で音がするのはなぜ?音ごとの原因・対策を解説
耳鳴りがストレスの原因となっているケースも
今回は「ストレスが原因の耳鳴り」についてご紹介しましたが、「耳鳴りのせいでストレスを抱えている」という方も少なくありません。
耳鳴りは明確な治療法がなく、耳鳴りのせいで集中力が落ちてしまったり、寝つきが悪くなってしまったりするなどの悩みを抱えている方も多いようです。
【聞こえ総研 Vol.2】耳鳴りにはどう向き合うべき?では耳鳴りとの向き合い方について、おすすめの対策方法をまとめていますので、お悩みの方はぜひ参考にして下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はストレスが原因で起こる耳鳴りについて、そのメカニズムと改善方法についてご紹介します。
耳鳴りはストレスが原因になっているケースが多いようですが、難聴や脳の病気など重篤な疾患が隠れていることもあります。
若い世代であればあるほど「耳鳴りで病院にいくのは…」と考えがちですが、ご自身の耳鳴りの症状と向き合い、体が出しているサインを見逃さないようにしましょう。
「放っておいてもいい耳鳴り」と「危険な耳鳴り」について記事内で触れていますが、何か気になる点があれば、まずは耳鼻咽喉科に相談してみることをお勧めします。
<人気記事>
集音器と補聴器の違いとは?「聞こえづらさ」解消のための使い方や注意点を解説
集音器の種類はどれくらい?特徴・選び方とオススメ製品をご紹介
集音器の特徴は?メリットやデメリットについても解説