耳鳴りと難聴
更新日:2023.11.13
妊娠中の耳鳴りは治せる?出産後も続く?
妊娠すると耳鳴りを感じる方が少なくないようです。
妊娠に伴う耳鳴りの原因や、対処法をご紹介します。
目次
妊娠中の耳鳴りの症状とは?
一般的に耳鳴りは、何も音がしないところでも耳の中から音が聞こえてくるかのように感じる現象です。
「ジーッ」「ブーン」「ゴーッ」といった低音のものから、金属音のような音や「キーン」といった高音のものもあります。
耳鳴りには、自分だけが聞こえる自覚的耳鳴りと、医者が聴診器を耳にあてることで聞こえる他覚的耳鳴りとがあります。
前者は耳を塞ぐとより音が大きく聞こえるのに対し、後者は「ドクンドクン」「ザーッ」といった鼓動音や血流音が聞こえるという特徴があります。
耳鳴りは、さまざまな種類の難聴や重大な疾患の前兆として聞こえることがありますが、妊娠中にも耳鳴りを訴える人が多いようです。
特徴としては、耳鳴りと一緒に、耳が詰まったような感じや自分の声が響いて聞こえるといった症状も伴います。
妊娠するとホルモンバランスが変化するとともに、お腹の中の赤ちゃんの成長に伴い体重が増え、頭痛や肩こりに悩まされる方もいらっしゃいます。
妊娠中の耳鳴りの原因
妊娠中の耳鳴りの原因は、大きく分けて二つあります。
「耳管開放症」による耳鳴り
妊娠中の耳鳴りでは、耳と鼻の奥をつなぐ筒状の「耳管(じかん)」が開いたままになる「耳管開放症」が疑われることが多いです。
耳管音を神経に伝える器官に呼吸音や自分の声が直接届くような症状が続きます。
また、唾を飲み込んだ時に「プチプチ」「バリバリ」といった音が聞こえます。
ほかの症状としては、肩こり、頭痛、鼻づまりなども伴います。
一般的に、耳管解放症は、風邪をひいて鼻をかまずにすすったりすることで、普段は閉じたままの状態である「耳管」が開いたままになってしまうものですが、妊娠中はホルモンバランスの変化に伴い、耳管が閉まりにくくなってしまうことがあります。
妊娠中の耳管開放症は、一般的に難聴になる恐れはありません。
水分補給を行なう、鼻をすすらないという点を心がけましょう。
出産と同時に症状は消失しますが、耐えられない程の症状の場合は、漢方薬による治療が行われることもあります。
まずはかかりつけの産婦人科医に相談することをおすすめします。
血行不良による耳鳴り
妊娠中はお腹の赤ちゃんに栄養を送るようになるため、貧血になりやすい状態です。
また、女性ホルモンのひとつである黄体ホルモンの分泌が増えることで、倦怠感やめまい、頭痛などを引き起こしやすくなります。
また、お腹の赤ちゃんの成長に伴い、部分的に血行不良が起こり、耳のまわりの血流も悪くなることがあります。
この血行不良による耳鳴りも、出産と同時に症状は次第と消失していきます。
注意すべき耳鳴りもあるので放置は危険
妊娠中の耳鳴りの中でも、妊娠高血圧症候群による耳鳴りの可能性がある場合は、かかりつけの産婦人科医へ速やかに相談しましょう。
妊娠高血圧症候群とは?
耳鳴りのほかに、高血圧、めまい、頭痛、ほてりを伴ったら、妊娠高血圧症候群の可能性があります。
妊婦の約20人に1人の割合で起こるとされていますが、妊娠34週未満で発症した場合は重症化しやすいため注意が必要です。
妊婦検診で判明することが多い症状です。
どんな人がなりやすい?
高齢出産の場合や、肥満、高血圧、腎臓疾患、糖尿病などの持病を持っている人がかかる傾向に多いことが分かっています。
また、多胎妊娠、以前の妊娠で妊娠高血圧症候群だった方にも多い傾向があります。
妊娠高血圧症候群は予防できる?
急激な体重増加や塩分の取りすぎは血圧上昇を促しやすいため、注意が必要です。
一日の塩分量は10g以内に抑え、栄養バランスの取れた食事を取りましょう。
妊娠高血圧症候群の治療
基本的には安静にして過ごし、栄養指導がある場合が多いですが、症状が重い場合は入院を勧められることもあります。
妊娠中でも使える薬を服用することもあります。
出産後には症状が改善する場合が多いですが、将来のご自身や家族のためにも、規則正しい食生活を継続するとよいでしょう。
突発性難聴による耳鳴り
「キーン」という耳鳴りを伴い、ある日突然片耳が聞こえなくなるもので、ストレスやウィルス感染、またホルモンバランスの乱れなどが引き金になるケースが報告されています。
2日以上難聴と耳鳴りが続くようであれば、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
放置しておくと難聴の治療が困難になってしまいます。
メニエール病による耳鳴り
耳鳴りとともに、回転性のまめいや難聴、吐き気などを伴うもので、ストレス、疲れ、睡眠不足などが引き金になります。
こちらもなるべく早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
妊娠中の耳鳴りを改善するには?
自分で簡単にできる耳鳴り解消法を取り入れて、妊娠中を気持ちよく過ごしましょう。
妊娠は一人ひとり状態が違うものですので、どの場合も、必ずかかりつけの産婦人科医に相談することが大切です。
つわりによる体重減少で耳鳴りが起きていたら
体重が減ったり体内の水分量が減ったりすることで、耳管解放症による耳鳴りが起きることがあります。
食べられないときは塩分量に配慮しつつ経口補水液で水分を補うと有効な場合があります。
ストレスがたまっていたら
ストレスはあらゆる耳鳴りの原因になる可能性があります。
妊娠中は心身の変化が大きく、戸惑うことも少なくありませんが、自分のために使う時間を積極的に設け、ゆったりとした気分で過ごせるように心がけましょう。
冷え性・むくみがあったら
妊娠中はお腹の赤ちゃんの成長に伴って血行不良に陥りやすいものですが、さらに体が冷えていると血行不良が悪化し、耳鳴りが生じやすくなります。
十分な睡眠や入浴、適度な運動を心がけ、身体の中から温めるようにしましょう。
まとめ
妊娠中の耳鳴りは、出産に伴い自然と消失するものが多いですが、気になる症状があれば遠慮なくかかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。
心身の変化が大きく戸惑うことも多い時期ですが、周囲にサポートを求めるなどして、無理なく過ごせるように心がけましょう。