耳鳴りと難聴
更新日:2024.07.30
聴力検査で1000Hzが聞こえない場合は?原因や難聴の種類、改善方法を解説
聴力検査で調べられる音の周波数は、1000Hzと4000Hzの小さい音です。
一般的には、4000Hzよりも1000Hzの方が聞こえやすいとされますが、もし1000Hzの音が聞こえない場合、どんな原因が考えられるのでしょうか。
難聴の種類や改善方法とともに解説します。
目次
聴力検査の概要
健康診断で行う聴力検査と、耳鼻科で行う聴力検査の内容は大きく異なります。特に日常生活に支障がない場合は、健康診断で聴力を調べる機会の方が多いでしょう。
健康診断で行う聴力検査では、大きなヘッドホンをつけて、聴力の低下がないか調べるのが主な目的です。
この検査で使われるのは、1000Hzと4000Hzの小さい音です。
これらの音が聞こえるかどうかで、日常会話に支障がないかどうかや、加齢による聴力の低下が起こっていないかどうかを知ることができます。
もし、聴力低下がみられその原因を突き止める必要がある場合は、耳鼻科で専門的な検査を行います。
聴力検査|1000Hzと4000Hzの違いは?
聴力検査では、1000Hzと4000Hzの音が聞けるかどうかを調べます。
なぜ、1000Hzと4000Hzなのか、その違いを確認してみましょう。
まず、1000Hzについてです。1000Hzの音は、日常会話での音域がまさにこのあたりとなります。
したがって、1000Hzの音が聞こえにくい場合は、普段の人との会話に支障が出ている可能性があります。
そして、4000Hzは1000Hzよりももっと高い周波数の音で、鳥のさえずりなどがこの周波数域に該当します。
4000Hzの音が聞こえない場合は、騒音の聞きすぎか、加齢による聴力の低下の可能性があります。
ここで押さえておきたいのが、聴力検査での音の大きさです。
一般的に、1000Hzの音は30dBHL、4000Hzの音は40dBHLで流れます
30dBHLの音は、ささやき声くらいの大きさであり、40dBHLの音は小さな声くらいの大きさとなっています。
平均的な聴力【年齢別】
年齢別に、どのくらいの音が聞こえるのか、平均的な聴力を見てみましょう。
50歳〜 | 55歳〜 | 60歳〜 | 65歳〜 | 70歳〜 | 75歳〜 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1000Hz | 5.4dBHL | 6.8dBHL | 9.4dBHL | 13.8dBHL | 22.6dBHL | 24dBHL |
4000Hz | 11.3dBHL | 14.7dBHL | 20.2dBHL | 29.1dBHL | 40.2dBHL | 40.3dBHL |
https://www.dock-tokyo.jp/results/body-measurement/audiometry.html
音の大きさは「dBHL」で示され、この数字が低ければ低いほど、よく聞こえています。
つまり、60歳の人でいうと、1000Hzの音はだいたい9.4 dBHLの大きさで聞こえるのが平均的ということです。
この表からも分かるように、年齢が上がるとともにどちらの周波数も音を大きくしないと聞こえにくくなっていきます。
音が聞こえない? 検査からわかる病気とその症状
もし、聴力検査で音が聞こえなかった場合、どのような病気が考えられるのでしょうか。
主な病気や症状についてご紹介します。
伝音性難聴
外耳や中耳になんらかの障害等があり、その奥にある内耳にうまく音が届けられない難聴のことを、伝音性難聴と呼びます。
代表的な病気は、中耳炎、耳垢栓塞、鼓膜穿孔、耳硬化症などです。
感音性難聴
キャッチした音の振動を電気信号に変換する蝸牛という器官や、その信号を脳に伝える神経、伝わった信号を処理する脳の一部が障害されることで起こる難聴のことを、感音性難聴と呼びます。
代表的な病気は、加齢性難聴、騒音性難聴、突発性難聴、メニエール病などです。
混合性難聴
伝音性難聴の範囲と、感音性難聴の範囲の両方が障害された状態のことを、混合性難聴と呼びます。
例えば、加齢性難聴と耳垢栓塞が両方起こった場合や、耳硬化症が進行した場合、一部の中耳炎などで混合性難聴となることがあります。
耳鼻科の聴力検査はより精密に検査できる
健康診断での聴力検査で「所見あり」などとなると、耳鼻科でより詳しい検査を受けるのが一般的な流れです。
耳鼻科での聴力検査なら、「聞こえるか・聞こえないか」だけでなく、どのくらいの音量なら聞こえるのかを知ることができます。
さらに、2つの周波数の音だけでなく、低い音から高い音まで7種類以上の周波数で調べます。
もし、難聴がある場合、それが伝音性難聴によるものなのか、それとも感音性難聴によるものなのかを確認できます。
さらに、音ではなく、言葉の聞こえかたについても調べることが可能で、この検査では言葉を聞き分ける力を把握することができます。
精密検査が必要な場合の耳鼻科の選び方
健康診断の聴力検査で精密検査が必要だと書いてあった場合は、耳鼻科で詳しい検査を受けることをおすすめします。
健康診断を受けた場所が総合病院であれば、その総合病院の耳鼻科を受診するのも良いでしょう。
もし、総合病院以外の検診センターなどで検査を受けたのであれば、通いやすい場所にある耳鼻科を自分で探し、予約することとなります。
地域に複数の耳鼻科があり、どこに受診すれば良いのか迷った時は、「聴覚」を得意とする医師が在籍している病院もおすすめです。
耳鼻科の専門領域は19領域におよび、実は医師によって得意とする専門領域が異なる場合もあります。
もちろん、聴覚検査はどの耳鼻科でも受けることができますが、より聴覚に詳しい医師に診てもらいたい場合は、ホームページなどで得意とする専門領域を調べて選んでみてはいかがでしょうか。
難聴の改善方法
聴力検査で難聴の可能性があると言われた場合、どのような対処ができるのでしょうか。
耳垢を除去する
難聴の原因が耳垢のつまりだった場合、耳垢を取り除くだけで聞こえやすくなります。
耳垢が詰まりすぎて耳栓のように外耳道を塞いだ状態になると、自分で耳掃除をするのは難しいでしょう。
耳垢を奥に押し込んだり、耳の穴を傷つけてしまう可能性があります。
耳鼻科では、耳栓のように塞がった耳垢をとってもらうことができますので、受診して安全に耳の中を綺麗にしてもらいましょう。
処置・手術を受ける
難聴の原因となる病気がある場合や、耳が感染症を起こしている場合は、適切な方法で治療を受ける必要があります。
どんな治療になるのか、どんな手術になるのかは、状態によりますが、医師からの説明を受けて相談しながら治療方針を決めていきましょう。
薬で治療する
難聴を引き起こした病気の種類によっては、薬の投与で聞こえが改善することがあります。
病気によっては、早期に薬を飲むことで改善しやすくなるものもあるため、聞こえにくさが突然生じた時などは健康診断を待たずとも早めに受診しましょう。
補聴器を利用する
聴力の低下で日常生活に支障がでたり、聞こえに不安があったりする場合は、補聴器の使用もおすすめです。
人それぞれ、難聴の程度や種類によって適切な補聴器は変わるため、耳鼻科で相談されることをおすすめします。
人工内耳を利用する
人工内耳は、補聴器を使用してもその効果が十分に得られない人の聞こえを助けるための人工臓器です。
手術によって耳の奥などに埋め込む部分と、音をマイクで拾い届ける部分からなり、効果の出方は人それぞれ異なります。
手術後、時間をかけて徐々に言葉が聞き取れるようリハビリを重ねる必要があります。
参照:難聴|一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/hearingloss/index.php?content_id=3
補聴器をすすめられた場合の利用の始め方
耳鼻科で補聴器を勧められたら、まずは補聴器外来や認定補聴器専門店などで相談してみてはいかがでしょうか。
特に、補聴器の使用を迷っている場合には、無料で試してみるなどして、実際にどのようなものなのか体験されることをおすすめします。
補聴器には、さまざまな種類があります。聞こえの状態に合うものから、自分の好みの見た目・デザインを選ぶと良いでしょう。購入後、すぐに快適に聴こえるとは限りません。
多くの場合、何度も繊細な調整を重ねながら、徐々に慣れていく必要があります。
そのため、補聴器を購入するお店は、通いやすいかどうかも重要なポイントになるでしょう。
補聴器の購入で利用できる医療費控除
補聴器の購入にかかった費用は、医療費控除の対象となります。
補聴器は製品にもよりますが、決して安価なものではないため、よく確認しておきましょう。
医療費控除とは、医療機関での診療費や入院費、医薬品の代金などが一定の基準を超えた場合に、控除が受けられるというものです。
補聴器の購入にかかった費用が全額戻るものではありませんが、条件に合えば確定申告後に還付金を受けとることができます。
補聴器の医療費控除を受けるためには?
聞こえづらさにピンときたら「オリーブの集音器」
オリーブユニオンでは、手に取りやすいスタイリッシュなデザインの集音器を扱っています。
最大の特徴は「聞こえのセルフ調整ができる」という点で、音を聞きたいシーンに合わせて、好きな時に、納得がいくまで、自分で調整を行うことが可能です。
聞こえづらさを放っておくと、将来的な難聴や認知症のリスクを高めます。
会話が聞き取りづらいことや、テレビやラジオの声が聞き取りづらいと感じることがあれば、音楽用イヤホンとしても使える、機能が充実したオリーブの集音器がおすすめです。
まとめ
健康診断の聴力検査でひっかかってしまったら、より詳しい検査ができる耳鼻科で診てもらいましょう。
難聴の原因は、さまざまです。
中には、病気の治療によって聞こえが改善することもあります。難聴は、加齢によるものとは限りません。
聴力検査によって、自分の聞こえ具合を知り、聴力低下がある場合はどんな対処ができるのか医師に相談されることをおすすめします。