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耳鳴りと難聴

更新日:2024.03.12

聴覚障害の等級とは?必要な支援や受けられるサービスも解説

聴覚障害の等級とは?必要な支援や受けられるサービスも解説

聴覚障害の程度によって、一定の判断基準に基づき等級が決まります。
どのくらいの音が聞こえるのかは、人それぞれです。
必要に応じて、補聴器を使用したり、手話や筆談でコミュニケーションをとったりする場合もあるでしょう。
ここでは、聴覚障害の等級について、具体的な内容や必要な支援、受けられるサービスもご紹介します。

そもそも聴覚障害とは?

聴覚障害とは、聴力や聴覚に何らかの障害が生じ、聞こえない状態や聞こえにくい状態が続くことを指します。
その程度や原因は人それぞれですが、医学的には「25dB以上の音がようやく聞こえる」というレベルを「聴覚障害」といいます。

聴覚障害の種類(分類)

聴覚障害は、耳のどの部分の病気が原因で障害を生じているかによって、3つの種類に分けられています。

伝音性難聴

伝音性難聴と、感音性難聴の両方に原因が見られる難聴のことを、混合性難聴と呼びます。

感音性難聴

耳の穴の奥深くにある、聴神経につながる部分を内耳と呼びます。
この内耳や、脳の障害が原因で起こる難聴を、感音性難聴と呼びます。
伝音性難聴の場合は、音を大きくすれば聞こえが改善するケースも多いですが、感音性難聴の場合は音が言葉として正しく伝わりにくいという特徴があります。

混合性難聴

伝音性難聴と、感音性難聴の両方に原因が見られる難聴のことを、混合性難聴と呼びます。

参照:聴覚障害って何ですか。 | 神奈川県聴覚障害者福祉センターhttp://www.kanagawa-wad.jp/faq02.html

難聴の程度と聞こえ具合

私たちが日頃耳にしている音は、どのくらいの聴力を必要とするのか考えたことがある方は少ないかもしれません。
難聴の方はどのくらいの音から聞こえにくくなるのかについて、その程度と聞こえ具合を見てみましょう。

dB どのくらいの音から聞こえるか 難聴の程度
0 普通の人が聞こえる最も弱い音 正常
20 ささやき声 正常〜軽度難聴
30 静かな会話 軽度難聴
50 普通の会話 中等度難聴
70 大声での会話 高度難聴
90 30㎝の近さの叫び声 高度難聴
110 耳もとの叫び声 高度難聴
130 30㎝からのサイレン 高度難聴

参照:聴覚障害者の職場定着推進マニュアルhttps://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/kakudai9/book.pdf

補聴器だけでコミュニケーションをとることが難しいケースでは、手話などの他の手段も使いながら会話を行っていることが多いです。

関連記事:難聴レベルは主に4つ、聴覚障害になった場合はどうすれば良い?

聴覚障害の等級とは?

聴覚障害がある方は、聴力の低下のレベルに応じて「程度等級」が認定されます。
この等級は、身体障害者手帳の交付にあたり必要となります。
等級は、6級・4級・3級・2級までがあり、数字が小さくなるにつれて重度であることを示します。

等級 判定基準
6級 両耳の聴力レベルが 70dB 以上のもの
(40cm 以上の距離で発声された会話語を理解し得ないもの)
5級 一側耳の聴力レベルが 90dB 以上、他側耳の聴力レベルが 50dB 以上のもの
4級 両耳の聴力レベルが 80dB 以上のもの
(耳介に接しなければ話声語を理解し得ないもの)
両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が 50% 以下のもの
3級 両耳の聴力レベルが 90dB 以上のもの
(耳介に接しなければ大声語を理解し得ないもの)
2級 両耳の聴覚レベルが、それぞれ 100dB 以上のもの(両耳全ろう)

参照:聴覚障害者の職場定着推進マニュアルhttps://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/kakudai9/book.pdf

聴覚障害の認定等級は2級までですが、両耳とも100dB以上で言語障害を伴う場合は、1級と認定される場合もあります。

参照:身体障害認定基準等について(第2 聴覚又は平衡機能の障害)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/2014082709-3_2.pdf

聴覚障害の方が困ること

聴覚障害の方は、外見から障害があることを認識されにくく、特に初対面の人からの理解が得られにくいことや、実際に困り事があっても気づかれにくい点に不便さを感じている方が多いようです。

私たちが何気なく暮らしている社会で、音から得られる情報はとても多いです。
自然災害への警戒が必要な時のサイレンや、救急車が走る音、自転車や車が鳴らすクラクションの音が聞こえない人もいて、場合によっては命に関わる事態を招くこともあります。

また、駅で列車の遅延や停車ホームの変更が生じても、アナウンスが聞こえずにそのまま待ってしまい約束の時間に遅れてしまうことも。
電話での会話が難しい場合は、急ぎの連絡が必要な時にも伝えることができないという不自由さもあります。

もちろん、聴覚障害の方が困る場面は、こればかりではありません。
周囲の方の理解が不十分なことで、困ってしまう場面は多々あると考えられます。

参照:聴覚障害 障害特性|ハートシティ東京|東京都福祉保健局https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart//shougai/tyoukaku.html

聴覚障害の方へ必要な配慮について

聴覚障害とひとことで言っても、人それぞれ程度は異なります。
大人になってから聴覚に障害を持った人と、生まれつき障害がある人とでは、同じ聴力レベルでもコミュニケーションの方法は変わってくるでしょう。

耳が聞こえにくい・聞こえないから大きな声で話せば良いと思い込むのは間違いです。
確かに、その対応で聞こえやすくなる人もいますが、感音性難聴の方の場合は大きな声だと余計に言葉として認識しにくくなります。

普段は補聴器で問題なくコミュニケーションがとれる方も、周囲が騒がしかったり早口で話しかけられたりすると聞き取れない可能性があることも覚えておくと良いでしょう。

会議などたくさんの人が一同に介す場所では、発言者は手をあげる、左右で聴力が異なる場合は聞こえやすい耳の側から話しかけるなど、ちょっとした配慮でコミュニケーションが円滑になることも多々あります。

参照:聴覚障害 障害特性|ハートシティ東京|東京都福祉保健局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart//shougai/tyoukaku.html

聴覚障害の方が受けられる支援やサービスはどんなものがある?

聴覚障害のある方は、障害者手帳を取得することで福祉サービスを受けやすくなります。
また、聴覚障害のある方向けの就職サポートや公共のサービスもあり、利用することで負担に感じていたことが軽減されるかもしれません。
その一部を見てみましょう。

電話リレーサービス

令和2年6月に制定された「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律(令和2年法律第53号)」に伴い、24時間365日、聴覚障害のある方が快適に電話を利用できる体制が整いました。

このサービスを利用すると、聴覚障害や発語に困難がある方が、通訳オペレーターを介して文字と音声によって聴こえる人との会話を楽しみ、必要な手続きや連絡時にも役立てることができます。

参照:日本財団電話リレーサービス|特設ページ|
https://nftrs.or.jp/lp/

福祉制度の利用

税金の減免や、特別障害者手当等の支給、JRや私鉄、バス等の運賃の割引、公共施設の利用料の割引などが受けられる可能性があります。
身体障害者手帳を有していても、それぞれの施策の条件に該当するかどうかは人により異なるため、あらかじめ自治体の福祉課等で確認されることをおすすめします。

参照:聞こえない人の福祉 – 聞こえに困っている方へ – 特定非営利活動法人 東京都中途失聴・難聴者協会
https://www.tonancyo.org/kikoe/welfare.html

はじめての聞こえサポートに「オリーブの集音器」

オリーブユニオンでは、手に取りやすいスタイリッシュなデザインの集音器を扱っています。
最大の特徴は「聞こえのセルフ調整ができる」という点で、音を聞きたいシーンに合わせて、好きな時に、納得がいくまで、自分で調整を行うことが可能です。

調整方法はご自身のスマートフォンを使って行う方法と、専用の調整リモコンを使って行う方法の2種類(併用可)から選ぶことができます。
補聴器や集音器を使った新しい聞こえ方に妥協したくないという方にもおすすめの製品となっています。

聴覚障害の等級についてのまとめ

聴覚障害の等級は、どのくらい聞こえるかによって分類され、それが障害者手帳の等級にも反映されます。
等級を知ることで、どのくらいの音までは聞こえるのか、聞き取れない音は何なのかを把握することも可能です。周囲の方は、聴覚に障害のある方への理解を深めることで、コミュニケーションが円滑になり、仕事や会話もスムーズに行いやすくなります。
大切なのは、聴覚障害者それぞれの不便さを理解し、その人にとって何をどう工夫すれば良いのかを聞くことではないでしょうか。

参考サイト
http://www.kanagawa-wad.jp/faq02.html
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart//shougai/tyoukaku.html
https://www.soja-ent.com/medical/how-the-ear/
https://nftrs.or.jp/lp/?gclid=CjwKCAiA5L2tBhBTEiwAdSxJX8MwtlvR9063Qal5Yw9rLNrA3Rix1d7_tvpCcfabQs_LAUdSU8Jp8RoCT_sQAvD_BwE

ミミマガジン編集長

大竹 舞

Mai Otake

新潟県出身。保険診療・自由診療の医療機関で接遇・販売を経験したのち、マーケティング部門でオウンドメディアの運用を担当。その際に突発性難聴を発症(現在は完治)。オリーブユニオンに入社後はマーケティング部に所属。自身の難聴経験を活かし、幅広い世代が抱える耳鳴りや難聴の悩みに対して、“わかりやすく、かつ身近な問題として感じてもらえる”をテーマに、ミミマガジンの運用・コラムの執筆にあたる。

大竹 舞

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