補聴器と集音器
更新日:2024.06.21
骨伝導補聴器とは?特徴・メリット・デメリットを解説!
骨伝導とは、骨に振動を伝えることで音を届ける仕組みです。
私たちは音を聞く時、「蝸牛」というカタツムリのような形をした部分を使います。
蝸牛に音を届ける方法は2つあり、1つは鼓膜を使う方法、もう1つが耳周辺の骨に振動を与える方法です。
2つ目の方法を利用して作られているのが骨伝導です。
今回はこの骨伝導の仕組みを利用した「骨伝導補聴器」について解説します。
目次
そもそも骨伝導とは?
いつも私たちが聞いている音には、「気導音」と「骨導音」の2種類があります。
振動が空気を伝わって届くのが気導音、骨を伝わって届くのが骨導音です。
もう少し詳しく説明しましょう。下の耳の図を見ながら読み進めてください。
音波が外耳道を通って鼓膜に当たり、振動させる。
その振動が耳小骨を通って蝸牛に伝わり、神経へと伝わることで音として認識される。
これが気導による聞こえの仕組みです。
一方、振動源で発生した振動が、皮膚や骨を伝わって蝸牛に到達する。
そこで神経へと伝わり音として認識される。
これが骨導による聞こえの仕組みです。
まとめると、気導は①外耳道→②鼓膜→③耳小骨→④蝸牛→⑤神経の順に伝わり、骨導は①皮膚や骨→②蝸牛→③神経の順に伝わります。
蝸牛に伝わるまでの経路が異なるということです。
骨伝導補聴器とは
骨伝導補聴器とは、骨伝導の仕組みを利用して外耳や中耳を通さずに内耳へ直接音を届けることができる補聴器です。
特に、外耳や中耳に障害が起こって難聴の症状が出ている場合には、障害が起こっている部分を飛び越えて音を内耳へ届けることができるため、そのような場合に重宝されています。
また、骨伝導補聴器は一般的な補聴器のイメージとは異なり、耳の穴に入れ込むタイプではないため、耳の穴や鼓膜への負担がなく、自分の声が反響したり、気になったりすることもありません。
しかし、難聴の種類や症状によって骨伝導補聴器の使用に向かない場合もあるため、次の章ではそちらの注意点も含めて見ていきましょう。
骨伝導補聴器の仕組み
いきなり「骨伝導」という言葉を聞いたとき、すぐにその意味が思い浮かぶでしょうか?
おそらく多くの人は、「聞いたことはあるけど意味はよくわからない」状態だと思います。
骨伝導補聴器の特徴や長短を理解するためにも、まずは骨伝導の意味からしっかり理解していきましょう。
骨伝導補聴器を使える人・使えない人
骨伝導補聴器をつけることで聞こえが改善される人もいます。
その一方で、つけてもまったく聞こえが改善しない人もいます。
なぜこのような違いが出てしまうのでしょうか?
答えは「難聴の種類が違うから」です。
耳のどの部位が悪くなっているのかによって、骨伝導補聴器が有効か否かが変わってくるのです。
上の表をご覧ください。
難聴は異常のある部位の違いによって、感音性難聴、伝音性難聴、混合性難聴の3種類に分けられます。
このうち、骨伝導補聴器が有効なのは伝音性難聴のみです。
前の章でも説明したように、骨伝導とは外耳や中耳を飛び越えて直接内耳(蝸牛)へ振動を届けるものであり、音を感じ取る内耳自体を治すものではありません。
そのため、内耳や神経に異常のある感音性難聴や混合性難聴に対しては有効ではありませんが、外耳や中耳に異常のある伝音性難聴に対しては有効です。
自身の難聴の種類を理解した上で、骨伝導補聴器を使うか否かを検討するようにしましょう。
難聴の種類について詳しくはこちらをご覧ください。
難聴にはどんな種類があるの?
骨伝導補聴器のメリット・デメリット
ここでは骨伝導補聴器のメリットとデメリットを3つずつ挙げます。
以下でそれぞれについて説明していきます。
骨伝導補聴器の3つのメリット
1.耳をふさがない
2.自分の声が響かない
3.ものによっては目立たない
1つ目のメリットは耳をふさがないことです。
耳がかゆくなったりかぶれたりすることを防ぎます。
また、閉塞感を感じることなく、解放感をもって使用することができます。
2つ目のメリットは自分の声が響かないことです。
伝音性難聴の場合、耳をふさぐ一般的な補聴器では自分の声が気になることがありますが、骨伝導補聴器ではそのようなことは少ないです。
音のこもり感も軽減されます。
3つ目のメリットはものによっては目立たないことです。
とくに、メガネ型だと普通のメガネと判別しづらく、埋め込み型だと外からはまったく見えません。
周りの目を気にすることなく生活できます。
骨伝導補聴器の3つのデメリット
1.感音性難聴に対応できない
2.高度な難聴に対応できない
3.位置がずれると聞こえにくい
1つ目のデメリットは感音性難聴に対応できないことです。
ほとんどの難聴者は感音性難聴、もしくは混合性難聴であるため、使える人は少ないです。
2つ目のデメリットは高度な難聴に対応できないことです。
難聴が初期段階の人は使用できますが、ある程度進行してしまっている人は使用することが難しいです。
とくに高齢者にはあまりおすすめできないでしょう。
3つ目のデメリットは位置がずれると聞こえにくいことです。
骨を揺らす振動板はずれやすく、ぶつかったりすると音が聞こえにくくなることがあります。
これを防ごうとして耳への締め付けを強くすると、耳が痛くなってしまうといったジレンマも存在します。
骨伝導補聴器の種類
骨伝導補聴器には主にメガネ型、カチューシャ型、埋め込み型、軟骨伝導型の4種類があります。
以下でそれぞれについて説明していきます。
メガネ型
骨伝導補聴器でもっとも普及している型です。
メガネのツルの前方にマイクがついており、後方に振動を発生させる振動子がついています。
耳のうしろの骨に振動を伝えることで、音が聞こえるようになる仕組みです。
補聴器をつけていることに気づかれにくいこと、度を入れてメガネとしても使えることが特長です。
しかし、メガネが少し重くなってしまうといったデメリットもあります。
カチューシャ型
子どもがよく使用している型です。
振動子をがっつりとカチューシャで固定して使用します。
メリットは、動き回っても外れにくいこと、音の来る方向が比較的わかりやすいことです。
一方で、本体が大きく目立ってしまうといったデメリットもあります。
埋め込み型
4種類の中で唯一手術が必要になる型です。
頭蓋骨にチタン製の部品を埋め込む方式です。
手術と言っても大がかりなものではなく、ほとんどの患者は数日で退院します。
骨に振動子を埋め込むため音が聞きやすくなる、ハウリングが起こりにくい、補聴器をつけていることがわからない、など利点はたくさんあります。
ただし、手術には規定が設けられており、誰でも使用できるわけではありません。
軟骨伝導型
外耳の軟骨部分に振動子を当てて音を聞く型です。
厳密には、「骨伝導」ではなく「軟骨導」の扱いとなっており、比較的新しい分野であります。
耳かけ型補聴器とほぼ同じ作りであるため、手術をする必要はなく、目立ったり重かったりすることもありません。
難点としては、取り扱いが非常に少ないことが挙げられます。
まとめ
今回は、骨伝導補聴器の仕組みや種類、価格、メリットやデメリットを含む特徴についてお伝えしてきました。
補聴器選びの参考にしていただければと思います。
現在、骨伝導補聴器は耳あな型や耳かけ型などの形と比べると主流ではなくなりつつありますが、根強いファンがいることも事実です。
自身の難聴の種類や補聴器を使う目的を踏まえ、自分にもっとも合う補聴器を選ぶようにしましょう。
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