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補聴器と集音器

更新日:2023.11.16

補聴器の医療費控除を受けるためには?

補聴器の医療費控除を受けるためには?

医療費控除とは、一定の基準を超えた医療費を支払った際に控除が受けられる制度です。
医療費控除の対象となるのは、医療機関での診療費や入院費から医薬品、通院に必要な交通費など様々です。
今回は補聴器が全ての人に医療費控除の対象となるのか、その条件や申請方法などを解説します。

補聴器の医療費控除を受けることは可能

補聴器購入にかかった費用は、医療費控除の対象となります。
これまで補聴器購入における医療費控除の可否は曖昧な部分が多くありましたが、2018年に厚生労働省、財務省から医療費控除を受けられることが承認されました。

補聴器購入における医療費控除は「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の活用により可能となります。
しかし、補聴器を購入した全ての人が医療費控除の対象になるというわけではありません。
また、購入金額の全てのお金が戻るわけでもありません。

医療費控除を受けるにはどのような条件があるのか、またどのような手続きを行えば良いのか、購入金額に対していくら戻るのかなど、自分自身が対象者であるかを確認した上で補聴器の購入を検討することをお勧めします。

関連記事:補聴器購入における、保険等の補助制度の適用について
引用:補聴器適合に関する診療情報提供書2018, https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/180416/pdf/01.pdf

補聴器の医療費控除を受ける流れ

補聴器購入における医療費控除は「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の活用により可能となりますが、実際にどのような流れで申請を行うのでしょうか。
ここからは補聴器の医療費控除はどのようにして受けられるのか、書類などの書き方を交えながら解説していきます。

①補聴器相談医による診療を受ける

自身の聞こえの悪さを自覚し、補聴器購入の際の医療費控除を受けたいと思ったら、まずは補聴器相談医による診療を受けることを検討しましょう。
補聴器相談医は、難聴の症状を抱える患者さんの悩みに対して、問診や聴力検査を行ったうえで補聴器利用の必要性を診断します。
また、難聴の度合いによって異なる補聴器の機能や価格などの相談も可能で、自分自身がどのような補聴器を利用すべきなのかという点も知ることができます。

補聴器相談医は、以下より都道部件別に医療機関や医師名を調べることができますので、ぜひご参考になさってください。

引用:一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会,補聴器相談医名簿, https://www.jibika.or.jp/modules/certification/index.php?content_id=39

②補聴器相談医より「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を受け取る

補聴器相談医による診療により補聴器の利用が適切と診断された場合に、補聴器相談医は「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を記入します。
書類の必要事項は問診や聴力検査の結果を元に全て医師が記入するため、患者さん側は書類を受け取るのみとなります。
ご自身で書類に対して追加で書き込み等を行うと、書類が無効になってしまうこともありますのでご注意ください。
また、紛失などが無いよう大事に保管しておきましょう。

③認定補聴器専門店に行き「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を提出し購入する

補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を受け取ってから、初めて補聴器を購入できるのですが、この時のポイントは認定補聴器専門店で購入するということです。
認定補聴器専門店とは認定補聴器技能者という補聴器の調整などを行う資格者がいる専門店のことを指します。
補聴器を購入する際は、聞こえ方の調整や装着感の調整などのフィッティングも大切になります。
認定補聴器技能者は、補聴器相談医と連携した対応を行う役割もあるため、お店選びの際にはこのようなポイントを押さえておくことも重要です。

引用:公益財団法人テクノエイド協会,認定補聴器専門店一覧, https://www5.techno-aids.or.jp/shop/map.php

④「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の写しと補聴器の領収書を受け取る

医療費控除を受ける際には、補聴器を購入した該当年度の確定申告を行う必要があります。
その確定申告の際に必要となるのが、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の写しと補聴器の領収書の2つです。
税務署から提出の求めがあった場合は上記の2つを提出する必要がありますので、紛失などが無いよう大事に保管しておきましょう。

また、確定申告が行える期間は毎年2月16日〜3月15日までとなりますので、申請漏れがないように注意しましょう。

引用:freee会計,確定申告の基礎知識「医療費控除の申請方法とは?確定申告時の必要書類や計算のやり方を分かりやすく解説」https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/summary-medical/

実際にいくら戻るのか

一般的に一年の医療費が10万円を超えたら医療費控除を行う方が良いと言われるものの、実際にどのくらいの金額が戻ってくるのでしょうか。
ここからは、所得などをもとに、どのようにして医療費控除額についてシミュレーションしてみましょう。

【医療費控除による返金額の計算方法】

医療費控除による返金額の計算方法は以下の通りになります。

①実際に支払った医療費の合計から保険金等で補充される金額を引く
※「保険金等で補充される金額」とは、生命保険や損害保険で支払われた保険金や出産育児一時金などで補充された金額となります。

② ①の金額から「10万円」または「総所得金額の5%」を引く
※課税所得が200万円以上の場合は「10万円」、200万円未満の場合は「総所得金額の5%」を引いてください。

③ 課税所得額から所得税率を以下の表より確認する

④ ②の金額に③のパーセンテージをかける
=④で出た金額が実際に戻ってくる金額となります。

医療費控除計算の注意点として、②で算出した金額を戻ってくる金額と勘違いされるケースが多く見受けられますが、②は「控除金額」であり実際の「返金額」ではありませんので、この二つを混同しないように気をつけましょう。

【課税所得300万円で15万円の補聴器を購入する場合の試算】

①補聴器購入費額<15万円>-保険金等の補充額<0円> =15万円
②15万円-<10万円>=5万円
③所得税率は<10%>
④15万円×10%=5,000円
=医療費控除によって戻ってくる金額は5,000円となります。

※生命保険や損害保険で支払われた保険金や出産育児一時金などで補充された金額がなかった場合の金額となります。
※補聴器代のみで医療費控除を行なった場合の金額となります。

補聴器の電池代や修理代は、医療費控除の対象外となることが一般的のようです。
ただし、各税務署の判断に委ねている部分も多いようですので、対象になるかどうか気になる方はお住まいの地域の税務署に尋ねてみると良いかもしれません。

また、今回の試算は補聴器のみで医療費控除を行う場合で行いましたが、対象期間内に別の医療費控除が受けられるものを購入している場合には実際に支払った医療費の合計金額として合算することが可能です。
製品を購入した際の領収書や、医療機関を受診した際の領収書・明細書などは破棄せずに保管しておくことをお勧めします。

まとめ

補聴器の医療費控除について今回の要点をまとめると以下のようになります。

・補聴器で医療費控除を受けることは可能
・医療費控除による還付額は人によって異なる
・補聴器相談医よる診療と「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」が必要
・対象期間内に確定申告を行うことで還付対象となる

医療費控除の制度を利用して補聴器を購入したいと思った際には、上の4つを覚えておくとスムーズに申請を行うことができます。
補聴器の購入を考えている方や、まわりにそのような方がいらっしゃる場合は、ぜひ本記事の内容を参考にしていただければ幸いです。

ミミマガジン編集長

大竹 舞

Mai Otake

新潟県出身。保険診療・自由診療の医療機関で接遇・販売を経験したのち、マーケティング部門でオウンドメディアの運用を担当。その際に突発性難聴を発症(現在は完治)。オリーブユニオンに入社後はマーケティング部に所属。自身の難聴経験を活かし、幅広い世代が抱える耳鳴りや難聴の悩みに対して、“わかりやすく、かつ身近な問題として感じてもらえる”をテーマに、ミミマガジンの運用・コラムの執筆にあたる。

大竹 舞

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