健康と予防
更新日:2023.11.15
難聴はどんな人がなるの?症状や予防策は?
「難聴」と聞くと、「高齢者がなるもの」「まだ若いから自分は大丈夫」と思う人は多いかもしれません。
しかし、難聴は年齢を問わず誰もがなりうるもので、本人が自覚しないうちに症状が進行してしまうものでもあります。
ここでは、難聴について正しい知識をもったうえで、その予防策についてもご紹介します。
目次
難聴とは「聞こえづらい」状態のこと
聴覚をつかさどる器官がなんらかのダメージを受けることで、今まで聞こえていた音が聞こえづらくなったり、聞こえなくなってしまう状態を難聴といいます。
難聴になると、電子音や子どもの声など、高音域の音が聞こえないことが多く、雑音の中での会話をキャッチすることが難しくなってしまいます。
大音量にさらされた後に、一時的に耳鳴りが起こることによる難聴もありますが、多くの場合は治療や補聴器の装着が必要となります。
難聴を診断するのはあくまでも耳鼻咽喉科医なので、少しでも疑わしい場合は自己診断は避けて受診をすることが大切です。
難聴の治療や診察を後回しにすることで、症状が進行してしまう場合もあるため、先延ばしは禁物です。
よく聞く「突発性難聴」と「加齢性難聴」とは?
ここでは、ニュースなどでよく耳にする2つの症状について見てみましょう。
突発性難聴とは?
何の前触れもなく突然発症し、片耳が聞こえなくなるもの。
耳に水が入っているような耳閉感や耳鳴り、音のダブりやエコー現象などが現れ、時にはめまいも伴い、常に不快を感じます。
原因は未だに不明とされているものの、ストレスやウィルス感染が引き金になるケースが多く、ビタミンB12や循環改善薬、ステロイドなどによる投薬治療によって改善するケースもあります。
治療の開始が早ければ早いほど改善する確率も高くなるため、早めの受診が重要になります。
加齢性難聴とは?
50歳くらいから始まり、65歳を過ぎると3人に1人が、75歳以上では10人に7人が加齢性の難聴を患うとされています。(2012年日本老年医学会誌)
原因は、音を感知し増幅する役割を持つ器官が、加齢とともにダメージを受けることで起こるとされており、また、脳の認知能力が低下することも挙げられています。
年をとったこと以外に原因が判明しない場合、加齢性による難聴と診断されます。
年のせいだからと放置しておくと、災害時の警報や外出先での車の音などが聞こえず、危険にさらされることもあるため、医師の診断を仰いで補聴器を装着することがすすめられます。
難聴は何歳くらいから始まる?
加齢性難聴は年をとることで発症しますが、一般的に難聴は高齢者だけではなく、年齢に関係なく発症するものです。
聞こえに関しては個人差が大きいものですが、一般的に、人は40代になると聞こえる力が低下すると言われており、特に高音域の音が聞こえづらくなってきます。
ただし、ほとんどの人が自覚がなく、早期の予防ができていないのが現状です。
60代になると軽い難聴レベルまで聞こえる力が低下していき、65〜74歳では3分の1の割合で難聴になるともいわれています。
難聴が原因で友人や家族とのコミュニケーションに難しさを感じ、孤立したり、ひきこもってしまったりすることで鬱や認知症の発症リスクにつながることもあります。
聞こえに課題を感じたら、すぐに医師の診察を受けることが大切です。
難聴は大きく分けて3タイプ
耳の器官は外側から内側に向かって、外耳・中耳・内耳と分けられますが、どこにダメージを受けるかで難聴の種類が3つに分類されています。
外耳と中耳へのダメージが原因で起こる「伝音難聴」、内耳や脳などへのダメージが原因で起こる「感音難聴」、また、これら2つが合併して起きる「混合性難聴」に分けることができます。
伝音難聴
一般的なタイプの難聴で、外耳・中耳の問題から起こる。
原因:外耳道炎(水泳後に発症しがち)、大音量を原因とする鼓膜穿孔、外耳道に耳あかがたまるなど。
まれに外耳・中耳の奇形、腫瘍も原因となることがある。
治療:薬物治療などによる聴力の回復は可能
感音難聴
内耳と脳の間にある神経回路の問題から起こる。
緩やかに進行するため、騒音下での会話が難しいと自覚するまで気付かないことが多い。
原因:加齢、騒音、おたふく風邪・髄膜炎などのウィルス疾患、頭部外傷
治療:医学的治療は難しく、補聴器が必要になる
混合性難聴
伝音系と感音系双方の問題から起こる。
治療:伝音系の問題は医学的治療が可能だが、感音系については治療が難しいため補聴器が必要になる
難聴の兆候はどう分かる?
難聴の兆候を知るには、以下の例に心当たりがあるかどうかで分かります。
少しでもあてはまるものがあったら、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
・家族や同僚、友人などから「耳が遠くなった?」と指摘を何回か受けている
・相手の言ったことが聞き取れず、繰り返しを頼む頻度が増えた
・ざわざわと騒がしい場所で人と会話をすることに困難を覚える
・テレビの音量を上げないとあまり聞こえない
・後ろから話しかけられると気付かないことが多く、相手の言っていることが聞き取りにくい
・窓の外からの鳥の声、雨音、車の音などがよく聞こえない
難聴とわかったらどうすればいいの?
耳鼻咽喉科で難聴と診断されたら、医師から治療の方法についてしっかり説明を聞きましょう。
治療で改善する難聴もありますが、補聴器をつけなければならないケースもあります。
その場合は、医師に補聴器専門店を紹介してもらい、なるべく早く補聴器を購入することが大切です。
先延ばしにすることで症状が進行してしまうこともあるからです。
補聴器購入の際は、専門家のコンサルティングや聴力検査を受けることになります。
それを元に、自分に合った補聴器のタイプや機能を一緒に選び、最終的にフィッティングをしながら微調整をしてもらうことになります。
難聴を防ぐためにできることは?
難聴の進行を防いだり遅らせたりするためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
実は、難聴は雑音によって引き起こされる確率が高いため、大きな音を避けることでリスクを回避することができるのです。
これは、加齢性難聴対策にも有効です。
具体的には、85デシベル(dB)以上の音を長時間にわたって聞き続けることで、難聴を発症するケースが見られるようです。
掃除機は75デシベルで、街の騒音がちょうど85デシベルにあたると言われています。
WHOでは、85デシベルの音に1日8時間以上さらされるのは危険という規定を設けています。
ちなみに、ドライヤーの音は100デシベルで、15分以上はNGとなっています。
難聴予防に気をつけたいポイント3つ
・スマホにイヤホンをつけて動画を見たり音楽を聴くことを習慣にしている人は、音量を下げる(規定値は60デシベル)
・工事現場の仕事、コンサート会場、クラブなど、騒音に囲まれて過ごすことを余儀なくされている場合は、耳栓やイヤーマフをするようにする
・音のない静かな場所で過ごすことで、耳を休ませる時間を積極的に持つ
まとめ
難聴は誰でもなり得る可能性があるものです。
また、普段の生活で大きな音を避けることが、難聴のリスクを減らすことに繋がります。
自分は大丈夫と思わず、聞こえづらさを感じたら早めに受診しましょう。